kintone・zoho総合相談所

企業規模問わず、営業活動の効率化にCRMを導入する企業が増加しています。しかし、CRMの導入は注意点を踏まえて進めることが大切です。

本記事では、CRMの導入を検討する企業向けに、CRMを導入することで期待できる効果を成功企業の例をもとに紹介します。また、成功例だけでなく失敗例や注意したいポイントもあわせて解説するため、自社にツールを導入するための判断材料として活用できます。

CRMとは？何ができるの？

まずは、CRMの概要について確認しておきましょう。CRMはCustomer Relationship 　Managementの略称で顧客関係管理を指します。

どのような業界でも、顧客との関係性を良好に保つことは非常に重要なポイントです。様々なマーケティング手法を実践する際においても、顧客の情報を把握していなければ効果的なアプローチが不可能です。

しかし、顧客の情報をCRMツールで管理することによって、顧客情報を必要なときに効率的に活用できるようになります。

参考：CRMとは？定義・意味をわかりやすく解説

CRMって何ができるの？

顧客情報を効率的に管理・活用できるCRMツールでできる具体的な業務内容は、下記の通りです。

・顧客情報の管理や活用

・営業業務の効率化

・顧客情報の非属人化

CRMツールの活用は、これまで帳簿で管理していた顧客情報をシステム上で管理することになります。そのため、デバイスを持ち、権限を与えられている誰もが編集可能になります。

そのため、接触した顧客情報を簡単に登録したり、確認したい場合はすぐに情報を閲覧することが可能になります。また、これまで情報を属人化させて管理していた企業にとっては、作業の非属人化につながり、ほかの業務に人員を割ける効果ももたらします。

CRMツールの導入成功・活用事例を紹介

ここでは、CRMを実際に導入して成功した企業の具体例を見ていきましょう。

	課題・導入目的	施策内容	施策によって得られた効果
日本ピザハット・コーポレーション株式会社	メルマガでも顧客獲得に限界を感じ、他の集客方法を確立するため	・ツールの導入によって、メールの作成時間を大幅に削減 ・アプリの使用状況を確認し、アプリでもアプローチをスタート ・メール配信を「テキスト重視」から「画像重視」に転換	・メールの作成時間を1/3まで短縮。また、ABテストの時間も大幅短縮に成功 ・アプリ経由でのコンバージョン数が1.4倍にまで増加 ・メール経由の売上が前年比115％
株式会社西武ライオンズ	観客動員数の増加	・百貨店や駅構内で②プロモーション活動にメルマガやSNSを採用	・観客動員数が上昇傾向で推移。結果的に10年で161％の増加 ・これまで少ない傾向にあった、女性ファンの獲得に成功
パナソニック株式会社	・CRMを活用できていないという社内の意見への根拠提示 ・ブランド想起率の向上	・会員へロイヤルティサービスの充実 ・NPS調査の実施	・ロイヤルティサービスや相談窓口の充実による顧客満足度の上昇（相談窓口を利用しない顧客の約4倍） ・ロイヤルティーサービスを受けた顧客の約90％が、肯定的な感想を寄せたという実績

CRMの導入失敗事例を紹介

CRMツールの導入は小売事例を見てわかるように、成功すると大きな効果を発揮します。しかし、導入方法を間違えるとコストだけがかかり失敗を招く可能性もあります。

ここでは、実際の失敗例を元に原因を解説します。

失敗の原因①導入目的を明確にしていなかった

多くの企業で見られる失敗例に、導入目的が不明瞭だったという点が挙げられます。小売業においてよくあるケースですが「競合他社がCRMを使っているって聞いたからうちも使おうかな」と、勢いだけでCRMを導入すると、必ず失敗に終わります。

CRMが自社にとって、どんな課題を解決するツールとなるかを明確にすることで、自ずとCRMの活用方法も見えてきます。そのため、CRMツールを導入する前にはまず導入目的を明確にしましょう。また、導入に際して、役職者だけで計画を進めるのではなく実際に業務を担当する従業員や、社内全体に情報共有することも大切です。

失敗の原因②情報の共有不足により正しい運用ができなかった

業種問わず、社内で情報共有できていない企業は、CRMを有効に使いこなせないケースが極めて多くなります。

例えば、企業の役員がとある集まりでCRMの有効性を知りリサーチから導入まで進めてくれたというケースでは、導入に踏み切るきっかけや過程を従業員が把握できない可能性があります。

この場合は、担当する従業員は自分は何を目指してツールを使えば良いのかがわからず、いつの間にかツールが使われなくなっている、お飾り状態になっているという可能性が高くなります。

CRMツール導入のメリットに、情報共有が効率的に行えるという点があります。しかし、社内でCRMツール自体の情報共有ができていない場合は、メリットを活かすことができません、

そのため、CRMツールの導入は企業全体で情報共有をしながら進めていきましょう。

失敗の原因③担当者に対して導入後のフォローが不足していた

ツールを導入すると、導入した達成感や安心感から、その後のフォローを忘れるケースがあります。導入まではうまくいったけど、改善の機会を設けておらず、最低限の利用しかできていないというケースもあります。

ツールの導入はスタートであり、ゴールではありません。そのため、CRMツールを導入し運用していく中で、必ず振り返りや研修などの機会を設けましょう。

また、運用マニュアルも定期的に見直して、よりよい活用方法を模索し続けることもツールを最大限活用するために大切です。

まとめ

今回はCRMツール導入を検討する企業が知っておきたいポイントを紹介しました。

近年、多くの企業が導入するツールですが、自社内で導入目的や導入後のフォローを的確に行わなければ費用だけがかかり効果を実感できません。

そのため、CRMを導入する際には成功例だけでなく、失敗例から注意点を確認して自社の導入時に活かしていきましょう。