kintoneを使ったシステム開発│
自社開発と外注それぞれのポイント
kintoneのシステム開発は、専門的な知識がないとできないイメージがあるかもしれません。
しかし、kintoneならドラッグ&ドロップの簡単な操作で手軽にシステム開発を行えます。
この記事では、kintoneを使ったシステム開発の方法と、自社開発する場合、外注する場合、それぞれのポイントと注意点を解説します。
kintoneを使ってシステムを開発したい方、プロに依頼すべきか迷っている方はぜひ参考にしてください。
kintoneは自分で開発は可能!
一般的なシステム開発には、プログラミングの知識が必要です。
しかし、kintoneならプログラミングの知識がなくても自分で簡単にシステム(アプリ)を作れます。
システムを自社開発できれば、業務の課題をスピーディかつピンポイントで解決できます。
業務改善アプリの作成を外注することもできますが、実際の業務をわかっている人が作ったほうが、本当に必要とするシステムを開発しやすいからです。
ただし、簡単にアプリを作成できるとはいえ、kintoneの機能を理解しておく必要はあります。標準機能を使ってできることも、機能の理解が不十分だと開発に行き詰ることも少なくありません。
ここでは、あらためてkintoneの標準機能について理解しておきましょう。
ドラッグ&ドロップで簡単に作れる
kintoneでは、プログラミングの知識がなくても、ドラッグ&ドロップの簡単な操作でアプリを開発できます。
通常は専門的なコーディングが必要なシステムやアプリの開発も、kintoneなら必要なパーツをドラッグ&ドロップしていくだけです。アプリの作成だけでなく、修正や改善も簡単に行えます。
マニュアルやサンプルアプリが豊富
マニュアルやサンプルアプリが豊富にあることもkintoneの大きなメリットです。
例えばkintoneの公式サイトにはヘルプ(マニュアル)が用意されており、そこでは画像付きで開発方法が丁寧に解説されています。
また、サンプルアプリも多数用意されています。kintoneのサンプルアプリをそのまま使ってもよいですし、手を加えて自社に最適な形に変えることも可能です。サンプルアプリは、部署や業種から目的にあったものを選べます。
<部署>
営業・セールス/顧客サービス・サポート業務/総務・人事/調達・購買/情報システム/開発・品質保証/広報・マーケティング/法務・知財/部門共通/その他
<業種>
製造業/卸売業・小売業/情報通信業/建設業/医療・福祉/士業・コンサルタント/不動産業・物品賃貸業/宿泊業・飲食業/教育・学習支援業/生活関連サービス業・娯楽業/金融業・保険業/運輸業・郵便業
kintoneを使ったシステムの開発・カスタマイズの方法
kintoneでは、用意されているツールやサンプルアプリを使い、ドラッグ&ドロップの簡単な操作でシステム(アプリ)を開発できます。
さらに、次のような方法でカスタマイズすることで、より自社の業務に合ったシステム(アプリ)を開発することも可能です。
- APIの利用
- JavaScriptによるコーティング
- プラグインの利用
APIを利用する
API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)とは、プログラム同士を結び付けることをいいます。
kintoneの場合、基幹システムやExcel、Accessなどで登録されているデータをAPIによって連携させることが可能です。kintone内にデータを組み込めるため、検索や編集、追加作業が快適に行えます。
APIを活用すれば、スマホから登録した情報を販売管理システムに直接反映させることもできます。
これは、APIを経由することでレコードデータを更新する仕組みです。
他にも、複合機と連携させれば受信した受注FAXをkintoneに登録できて、そのまま管理できます。紙媒体の情報を即座に電子データにできるため、顧客と情報共有したい場合にも便利です。
JavaScriptでコーディングする
JavaScriptを使ってkintoneをコーディングすることも可能です。開発者ライセンスを申請してJavaScriptコードを入力すれば、システムやアプリの動作、画面など細かい部分まで修正できます。
ただし、JavaScriptでコーディングするにはプログラミングの知識が必要です。自社開発で行う場合は元々JavaScriptの知識を持った従業員に任せるか、一から育成していかなくてはなりません。
適任の人材がいなかったり育成の時間や費用の確保が難しかったりする場合には、プロに外注したほうがよいケースが多いでしょう。
JavaScriptでのコーディングを外注する場合、kintoneでシステム開発を手掛けたことがあるエンジニアに依頼しましょう。kintoneのバージョンが変更された場合にはコーディングの修正が必要になるため、依頼する際には今後の修正も含めて依頼しておくと安心です。
プラグインを利用する
API連携やJavaScriptでのコーディング以外にも、プラグインを利用して機能を拡張する方法もあります。プラグインなら、ZIPファイルをインストールして設定するだけで利用できるので操作も非常に簡単です。
kintoneはさまざまプラグインがあり、目的に応じて選べます。
例えばメールの一斉送信や対応履歴の確認などが行えるクラウドメールサービス「メールワイズ連携プラグイン」、kintoneのレコードをそのままスケジューラー形式で表示できる「KOYOMI(スケジュール管理プラグイン)」などがあります。
プラグインは基本的に有料ですが、無料で試用できる場合もあります。気になるプラグインがあれば、ぜひ試して導入を検討してみてください。
kintoneのシステムを自社開発する場合の注意点
kintoneなら簡単にシステムの自社開発ができますが、いくつか注意点もあります。自社開発する際の注意点をここで確認しておきましょう。
データ構造を整理する
kintoneのシステムを自社開発する場合、「データ構造」を意識し、整理しながら作成することがポイントです。kintoneのデータ構造はExcelやRDBMS(リレーショナルデータベース、Microsoft Accessなど)とは異なります。
ExcelやRDBMSのデータをkintoneに移行するには、データの最適化が必要です。データの最適化では、以下の3点を意識しましょう。
- テーブルはどう使うか
- ルックアップと関連レコードをどう使い分けるか
- 各レコードのキー情報はどう定義づけるか
アプリを作成するとき、なるべく一つのアプリで済ませようとさまざまなデータを組み込んでしまいがちです。
一つのアプリで済めば便利な面もありますが、ほかの人が利用する際にどのデータを見ればよいかわかりづらくなる欠点があります。データ構造を整理しつつ、一つのアプリにデータを詰め込みすぎないよう気をつけましょう。
プラグインを使いすぎない
kintoneの標準機能で不足する機能があれば、プラグインを活用して機能を拡張できます。ただし、プラグインは使いすぎないことが大切です。
一つのアプリには20個までプラグインを追加できますが、あまりにたくさん付けると機能が被ったり、プラグイン同士が干渉したりして動作しなくなることもあります。プラグインを追加する際は、本当に必要かをよく見極めましょう。
なお、標準機能だけでシステムやアプリを作成することも可能です。
ただし、標準機能にこだわりすぎると、システムが複雑になり、ほかの人が操作したり後から修正したりする際に手間取るおそれがあります。
このようなkintoneの開発はプロにおまかせを!
kintoneを使えば、専門的な知識やスキルがなくても自社でシステム開発が可能です。
とはいえ、カスタマイズなど専門知識が必要になる場面も少なくありません。kintoneでのシステム開発でわからないことや悩みがあれば、抱え込まずプロに頼りましょう。
プロに頼ったほうがいいのは次のようなケースです。
JavaScriptカスタマイズや複雑な連携をしたい場合
kintoneでJavaScriptのコーディングによるカスタマイズをしたり複数のアプリデータを連携させたかったりする場合には、最初からプロに依頼したほうがスムーズでしょう。
特にJavaScriptのコーディングはプログラミングの知識がないと難しいです。JavaScriptを勉強しながら、手探り状態でカスタマイズすると、機能が停止して業務上の重大なトラブルにつながるおそれもあります。業務に欠かせないシステムの場合、複雑な開発はプロに任せたほうがよいでしょう。
また、複数のkintoneアプリから得たデータを連携させるには、複雑な操作を必要とします。社内のスタッフでは技術的に対応が難しい場合は、無理をせずプロに任せましょう。
複雑な権限設定が必要な場合
業務をスムーズに行うため、kintoneのシステムを社外の人にも利用してもらうケースもあるでしょう。「一部機能だけを使ってほしい」、「この内部情報は見せたくない」といった場合、アクセス権限の設定が必要です。
アクセス権限は自社で設定することもできますが、一部の機能を制限する場合など、複雑な作業が必要になるケースもあります。
権限設定を間違えると、情報漏えいなどにもつながりかねません。このようなリスクを回避するには、プロに設定を任せたほうが安心です。
手っ取り早く導入したい場合
システムやアプリは、知識や経験のない人が作るよりプロのほうが早く作成できます。
簡単にシステム開発ができるkintoneであっても、実際にシステムを開発して業務に導入するまでにはそれなりの時間がかかるでしょう。手っ取り早くシステムを導入したい場合にはプロに任せるのも一つの手です。
kintone開発をプロに依頼する場合のポイントと注意点
kintoneの開発をプロに依頼する場合にも、注意すべき点があります。依頼する際は、以下の4つのポイントを念頭に置いておきましょう。
開発を丸投げしない
面倒だからとkintoneの開発をプロへ丸投げするのは避けましょう。
現場の声などが反映された希望通りのシステムにするためにも、一緒に開発を進める形での依頼がおすすめです。
丸投げするよりも手間は増えますが、自社の要望が反映された開発ができます。
もし「kintone開発についてよくわからない」「できる限りお任せしたい」という場合には、自社の要望を丁寧にヒアリングしてもらえる会社を選ぶようにしてください。
契約内容をよく確認する
プロに依頼する場合は、契約内容をよく確認しましょう。
開発にかかる料金は、会社やシステムの内容によって大きく異なります。また、開発のみ行う会社から、開発から運用後のサポートまで対応してくれる会社まで、会社によってサービス内容もさまざまです。
開発のみ行う会社に依頼すると、あとからカスタマイズや修正をしたいときに対応してもらえない、または追加費用がかかる場合もあります。依頼する会社は導入後のことまで考慮して選びましょう。
開発環境を確認する
kintoneのカスタマイズには開発者ライセンスが必要なので、外注する前に開発環境をしておきましょう。
kintone開発者ライセンスとは、kintone APIを使った開発のために利用できる環境です。開発者ライセンスは導入から1年間は無料で利用できますが、以降は継続的に課金が必要です。スタンダードコースではユーザー数5人まで登録できます。
導入後のサポートがある業者を選ぶ
kintoneはプログラミングの知識やスキルがなくてもアプリを作成できますが、導入後の修正やカスタマイズなどで問題が生じる場合もあります。
各部署から「○○はこうしてほしい」といった要望が出たり、突然不具合が発生したりするケースは多いです。このような問題に素早く対処するためにも、導入後のサポートにも対応してくれる業者を選びましょう。
また、導入後のサポートは各社によってできる範囲が異なります。直接カスタマイズに対応してくれる業者もあれば、メールや電話でのサポートのみの会社もあります。
どのようなサポートが受けられるか、サポート内容も必ず確認しておきましょう。
>kintone開発の外注費用はどれぐらい?プロに依頼する一番大きな価値とは?
kintoneを使ったシステム開発まとめ
今回はkintoneでシステム開発する際のポイントを紹介しました。プログラミングのスキル不要でアプリ作成ができるkintoneは非常に便利なプラットフォームです。
しかし、業務改善に効果的なシステムを構築するためには、kintoneに搭載された標準機能を理解し、必要に応じてAPI連携やプラグインなどを利用する必要があります。
複雑な作業が必要になったりなるべく早くシステム導入したりを希望する場合には、プロの力を借りたほうがスムーズなケースも少なくありません。
当社ではkintoneの本格的な開発にも対応しているので開発の外注化を検討中の方はご相談ください。