シニアマーケットを中心とした街づくり

執筆者
中川 豊章
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世の中は少子高齢化に危機感を抱きすぎている

静岡市でビジネスをしていると、少子高齢化や人口減少による影響を危惧して右往左往する人をよく見かけます。

Webメディアでは人口ボーナスに関することを語っているものが多いですが、静岡市でそういった話を聞くことはありませんね。人口ボーナスについては、高度経済成長期の人口増加が特別であり、今が通常であるということです。増えすぎた人口は経済の動きで元に戻り、一時的に増えすぎた世代を養わなければならなくなるのは当然です。今は日本全体が行き先を見失っていることもあり、怖くて子供を産めないという負の連鎖もプラスされていますね。人口減少は当たり前であり、今はその反動を最低限の影響で済ませることを考えるべきなのです。

少子高齢化は静岡市にとってピンチなのか?

首都圏の高齢者人口は、居住人口に加え、流入人口も増加している為、2025年くらいを目安に介護施設や病院が供給不足に陥ります。地方では、高齢化率は上昇しても高齢者の絶対数は減るので、施設や病院の空きが目立ってきます。その時、首都圏にあふれた高齢者を獲得できる地方は強いと思います。この先、元気に働ける高齢者も増えるでしょうし、なにより他の世代と比べて、それなりの貯蓄もあります。

高齢者の受け入れ先として静岡市はどうでしょうか?コンパクトな街、首都圏へのアクセス、環境を含めて考えると私は最適だと思っています。このような話をすると「お年寄りばかり集めてどうするんだ。」という声が聞こえてくるのですが、私はシニアマーケットの活性化はむしろ静岡市のチャンスであると感じています。「シニア」にセグメントされた人々が集中している地域は魅力的な市場だと思いませんか?世界は日本を追いかけて高齢化していくわけですから、静岡市でテストしたくなるスタートアップ企業も出てくると思うんですよ。そうすれば、静岡で支社を持っていたり、スピンアウトした企業を立ち上げるという動きにもつながります。

高齢者をたくさん呼ぶと、そこに市場ができて若い人たちも集まるのではないかと思います。少し楽観的と思われるかもしれませんが、若者を引き留めるよりも可能性があると思いませんか?

 

シニアマーケットのチャンスを手にするために

若者が、より多くの雇用機会ややりがいを求めて地元を離れてしまうのは仕方がないと思います。そこにお金や労力を使わずに、「シニアに優しい街」をアピールしていくべきだと考えます。特に首都圏でアピールすれば、静岡に住みたい高齢者は増えると思いますよ。下見のために何度も来てくれれば、観光業としての効果もあります。静岡市は高齢者にとって住みやすい街であることをしっかりとアピールしてほしいものです。徳川家康も隠居生活を送った地ですし、広報しやすいと思いますね。