事業を行う際にかかった費用は、税務上、経費として処理できます。市場調査を行った際、調査会社への依頼費や競合調査を目的とした飲食費なども経費として計上が可能です。しかし、どの費目を選べば良いかわからず悩む人も少なくありません。
そこで今回は、経費として認められる市場調査にかかった費用や勘定科目について解説します。市場調査に関する仕訳の例も紹介しているので、経営者や経理担当の方はぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- 市場調査に使える勘定科目
- それぞれの科目に該当する費用例
- 市場調査にかかった費用の仕訳例
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市場調査にかかった費用を経費計上する場合の勘定科目
市場調査にかかった費用の仕訳に使える科目は、主に研究開発費・広告宣伝費・調査費・交際費の4つです。どれを使うかはケースによって異なります。ここでは、それぞれの勘定科目の特徴を説明します。
勘定科目 | 特徴 |
研究開発費 | 新技術や新製品の開発・改良にかかった費用。例:新しい製品を開発するための調査研究費・設備投資など |
広告宣伝費 | 製品やサービスを宣伝するときにかかる費用。例:ホームページ制作費用・SEO対策にかかる費用など |
調査費 | 製品の販売状況や消費者の使用状況を調べるためにかかった費用。例:調査会社への依頼費用・調査目的で購入した書籍など |
交際費 | 企業が取引先や得意先など事業に関わる相手に接待や贈答などをするためにかかる費用。例:打ち合わせを行った店での飲食費・お中元やお歳暮など |
研究開発費
研究開発費は、新たな商品や製品、サービスや技術の開発にかかった費用です。
製品やサービスを新たに作り出すだけでなく、既存の製品やサービスを著しく改良するなど、より良くするためにかかる費用も研究開発費に含まれます。そのため、研究・開発を目的に行った市場調査費用や人件費も研究開発費として計上できます。
- 新製品開発のため新たに購入した機械設備費用
- 既存製品の評判や改良点を知るために行った市場調査の人件費
- 新製品開発のために購入した材料費
ただし、既存の製品やサービスを対象にしていても試作品を作ったり製造工程の改善したりといった費用は、研究開発費には含まれないので注意が必要です。
広告宣伝費
広告宣伝費は、商品やサービスを多くの人に知ってもらうための宣伝にかかる費用です。テレビCMやパンフレット、チラシの制作費などが広告宣伝費に該当します。
加えて、自社の既存商品を売るために行った市場調査の費用も広告宣伝費として処理できます。
- 既存商品のモニター調査にかかった費用
- ブランドや自社商品の認知度調査にかかった費用
広告宣伝費として計上できるかを判断するポイントは、不特定多数の消費者を対象としているか、宣伝効果を期待して行っているかです。そのため、インターネットを活用したプロモーションだけでなく、ホームページの制作や管理・運用にかかる費用やバナー広告や動画広告を出す費用も広告宣伝費に含まれます。
調査費(市場調査費)
調査費は、製品やサービスの販売状況、消費者の使用状況などを調べるためにかかった費用です。調査にかかった費用を経費として計上できる点では、研究開発費や広告宣伝費と似ています。
ただし、調査費では新製品の開発・販売に直接関わらない調査での支出も含められます。他の勘定科目に比べて広い支出を計上できる点が特徴で、不動産会社に依頼した不動産の物件調査にかかる費用も調査費として仕訳が可能です。
- 新たに開発を計画している製品の市場規模調査にかかった費用
- 調査目的で購入した書籍の費用
- 商談に際して行った情報収集の費用
また、商談時に自社製品を提案するための情報収集費も調査費になります。例えばレストランを経営している場合、情報収集のために利用した他店での飲食代は調査費として処理できます。さらに、他店までの交通費を含めても問題ありません。
交際費
交際費とは、企業が取引先や得意先など、事業に関する相手に接待や贈答を行う際にかかる費用です。取引先の人と行った飲食店での費用やお中元やお歳暮などを贈答した場合、交際費として処理します。
トレンドや市場ニーズの把握など、市場調査を目的に取引先の人と会食した場合も交際費として計上が可能です。
- 市場ニーズの把握を目的とした取引先との会食費
- 情報収集を目的とした取引先との会食費
- 競合店の調査を目的とした取引先との飲食費
ただし、交際費はあくまでも、事業に関わる相手への接待や贈り物にかかる費用です。例え調査目的だとしても、相手が従業員の場合は交際費には該当しないので、仕訳を行う際は注意してください。
また、1人あたりの会食費用が5,000円以下の場合も交際費にはなりません。
市場調査に関する仕訳の例
以下では、市場調査に関する仕訳でよくある例を紹介します。どの科目で仕訳をすれば良いのか具体例を見ていきましょう。
■仕訳例1
既存商品のマーケティングのために市場調査を実施。調査会社に100,000円を振り込みで支払った
広告宣伝費 100,000 | 普通預金 100,000 |
■仕訳例2
新商品開発のための市場調査を実施した。かかった費用100,000は調査会社に来月末に支払う。
研究開発費 100,000 | 未払金 100,000 |
市場調査の支出の勘定科目まとめ
今回は、市場調査にかかった費用の仕訳科目について解説しました。市場調査にかかった費用を計上する場合に使える勘定科目は、研究開発費・広告宣伝費・調査費(市場調査費)・交際費などがあります。
どのような目的なのか、誰と行ったのかによって、計上する勘定科目は異なります。また、費用や金額によっては経費として認められないケースもあるので注意が必要です。
トムスのマーケティングリサーチでは担当者がお客様にご希望をヒアリングし、適切な調査方法をご提案した上でお見積もりを作成いたします。お見積もりではどの調査にどれだけの費用がかかるのか、細部に至るまで説明いたしますのでご安心ください。