ネットリサーチとは、マーケティングリサーチの手法のうちのひとつで、インターネット上でアンケートに回答してもらい、顧客のニーズや考えを集めることを指します。新しい商品やサービスの開発、既存製品をより良いものにアップデートする際に利用できます。
インターネット普及以前に主流だった、紙のアンケートでおこなうマーケティングリサーチと比べて、ネットリサーチは手間や時間、費用を大きく削減することが可能です。また、データの収集や分析がしやすい点も魅力です。しかし、ネットリサーチに関する詳しい知識を要していないと、自社に合ったリサーチ法ができずに失敗を招く恐れもあります。
そこで今回は、ネットリサーチの手法や実施する際の手順をご紹介します。インターネットリサーチの意味を知りたい、どういった手法があるのか知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- ネットリサーチの手法
- ネットリサーチの実施手順
- ネットリサーチを実施する際の注意点
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ネットリサーチの手法
ネットリサーチとは、インターネット上で行うアンケート調査のことです。「インターネットリサーチ」「Web調査」「インターネット調査」などの名称で呼ばれることもあります。
ネットリサーチは、オープン型とクローズ型の2種類に分けられます。それぞれの特徴を見ていきましょう。
オープン型
オープン型のネットリサーチは、自社のサイトやネット上のバナー広告などにアンケートページへのリンクを貼り、見た人であれば誰でも参加できる仕組みです。
オープン型は、不特定多数の目に止まり、回答者への負担も少ないため、広く回答を集められる点がメリットです。多くの回答を必要とする、ランキング調査や意識調査などに向いています。
また、アンケートの作成から回収、分析まで、すべての工程をネット上で完結できるため、時間の短縮にもつながり、通常業務に負担をかけずに調査を実施できます。印刷代も発生しないので、コスト削減にもつながります。
クローズ型
クローズ型は、自社の顧客や、リサーチ会社に登録している調査モニターに対してアンケートを実施する方法です。
性別や年齢、職業や未既婚など、調査対象を絞れる点がオープン型との大きな違いです。例えば自社のサービスが若い女性をターゲットにしている場合は、10代や20代の女性に対象者を絞ってアンケートを実施できます。調査内容の詳細を設定できるので、より具体的なニーズを発見しやすいでしょう。
ネットリサーチの実施方法・手順
次に、ネットリサーチを実施する際の方法や手順をご紹介していきます。ネットリサーチに必要な時間は、内容にもよっても異なりますが、概ね3週間から1ヶ月程度が目安となります。
1.調査企画・設計
課題の洗い出し | 自社の解決すべきマーケティング課題を明らかにする |
調査の目的 | 何を明らかにしたいのか、調査の目的を考える |
仮説の設定 | 結果を自社で予測して仮設をたてる |
調査結果の活用方法 | 調査結果をどんなことに活用するのかを考える |
調査地域 | どのエリアを対象にして情報収集を行うのかを考える |
対象者 | 対象者の年齢や性別、子どもの有無など、条件を考える |
サンプルサイズ | どの程度のサンプルを集めるのか考える |
予算/期限 | かけられる予算とアンケートの送付から回収までの期間を考える |
調査企画・設計はネットリサーチの肝です。
まずは自社のマーケティング課題を解決にむけて、どのような情報が必要かを明確にし、その情報を得ることを調査の目的に据えます。
次に、得体情報に対して仮説を立て、その仮説が正しいのか、間違えているのかを判断するためにはどの地域の、どのような人物に対してアンケートを実施する必要があるのか、細かく設定していきます。
アンケートの対象者をより具体的に絞り込む必要がある場合は、本調査を実施する前に対象者の条件を抽出できるスクリーニング調査の実施がおすすめです。年齢や性別だけではなく、より細かな条件に該当する人物を絞り込めるので、目的達成に最適な対象者の選別が可能です。
2.調査表作成
企画が決定したら調査票(アンケートの質問内容)の作成です。
アンケートの質問形式には、単数選択、複数選択、自由記述など、幾つかの種類がありますが、回答者の負担をできるだけ小さくしつつ、必要な情報を得られるような設計にすることがポイントです。
例えば自由記述の質問は、詳細な回答が期待できる一方、回答者への負担が大きいため、回答の数を重視する場合には適さないでしょう。また、質問する順番は「過去についての質問」「現在についての質問」「未来についての質問」を時系列順に並べることで、回答しやすくなります。
- わかりやすい表現がされているか
- 回りくどい文章になっていないか
- 回答を誘導するような文面になっていないか
- 誤解が生じる文章になっていないか
上記に気を付けて設問を考えていきましょう。
3.調査実施
調査票を作成したら調査を実施します。アンケートシステムを導入している場合、自動集計機能が搭載されていれば回収している際にもデータの確認が可能です。リサーチ会社によってシステムに違いがあるので、依頼する際に調査実施中も回答を確認できるか聞いておきましょう。
4.データ集計
調査が終了したら、データの集計作業を行います。集計方法には、単純集計とクロス集計があるので、それぞれを解説していきましょう。
単純集計
単純集計では、一つひとつの質問に対する回答数や比率を集計します。アンケートデータ全体をつかむために欠かせない集計法になります。
単純集計の例を挙げると、「電動アシスト自転車を使っていますか?」という質問に対して「はい:50% いいえ:50%」のような割合を出したり、「どのメーカーの電動アシスト自転車を使っていますか」という質問に対して「A社:30件 B社:20件 C社:15件」のような回答件数を出したりします。
クロス集計
クロス集計では、複数の質問に対する回答を掛け合わせることで、単純計算よりも詳細なデータを出すことができます。
例えば「あなたの性別は?」という質問と、「電動アシスト自転車を使っていますか?」という質問を掛け合わせることで、「電動アシスト自転車を使っているひとのうち、50%が女性」といったデータを導き出せます。
5.データ分析
集計結果を分析し、レポートにまとめていきます。集計時点では、結果が数値のみで表されているので、レポートではグラフや解説を付け加えてわかりやすくします。
また、実施後は調査目的に立ち返り、仮説に対して結果はどうだったのかを確認することが大切です。仮説と結果が合致していれば課題の方向性が裏付けられている証拠となり、
具体的な施策に取り掛かれるでしょう。仮説と異なる結果であれば、戦略を練り直さなくてはなりません。
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ネットリサーチの実施方法を考える際に考慮すべきポイント
ここでは、効果的なネットリサーチをおこなうために重要な、3つのポイントを紹介します。
対象ユーザーの端末に考慮したアンケート設計をする
アンケート画面を作成する際には、対象となるユーザーが使用する端末にも考慮する必要があります。
特にスマートフォンは、パソコンと比較すると画面に表示できる情報が少ないため、スクロールや遷移の回数が多くなり、回答者にストレスを与えてしまいがちです。回答者のストレスは離脱に繋がるので、できるだけ快適に回答できる状態を目指しましょう。リサーチ会社の選定時には「マルチデバイスに配慮しているか」も重要なチェックポイントとなります。
質問項目は増やしすぎない
「顧客が考えることを知りたい」「色々なことを聞きたい」といった思いから、質問数が多くなってしまうケースもあるでしょう。しかし、質問数が多いと回答者が疲れてしまい、回答の精度が落ちたり、途中で離脱してしまう可能性があります。
調査票を作る際には、明らかにするべき項目を整理し、質問数を抑えるよう心がけましょう。重視すべきポイントは以下のとおりです。
- 10分前後で終える設問数を配置する(20〜30問)
- 設問を設置する順番に注意する
- 設問文は長くならない程度にする(短文でわかりやすくが基本)
- 1つの質問で多数の内容を聞かない(質問は1つのみで複数になる場合は分ける)
虚偽回答対策のため信頼性を見極める質問を含める
ネットでのアンケートは多くの人が回答してくれますが、中には信頼性にかける回答が混ざることもあるでしょう。
とくに、アンケートを回答した際に報酬がもらえる場合、回答の質の低さや同一人物が何度も回答してしまうケースもあります。こうしたケースを防ぐための対策として、回答者の信頼性を見極める質問やスクリーニング調査を実施して対象者を絞り込むことや、信頼できるネットリサーチ会社を選ぶことが大切です。
トムスが運営するData Lab.ではネットリサーチを実施しています。調査設計から実査、データ入力や報告書の作成まで一貫して行う会社です。部分的な依頼も受け付けているので、マーケティングにおける課題を解決するためにも活用をご検討ください。
ネットリサーチの実施方法まとめ
ネットリサーチは誰もが回答しやすく、顧客の声を聞きたい際には有効な手段です。しかし、効果的なネットリサーチのためには、今回ご紹介したように調査企画や設計、調査票の作成、データの集計など、さまざまな作業が必要となります。企業のみで実施するには大きな手間がかかってしまうので、専門家によるサポートがおすすめです。
リサーチ会社に依頼をすれば、自社に合った方法で調査を実施し、注意すべきポイントも理解しているので安心して任せられます。その際にはトムスが運営するData Lab.の活用も視野に入れてネットリサーチについて考えていきましょう。