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市場調査の分析手法15選!定量・定性に分けて解説!

市場調査を実施したくても、収集したデータの分析手法がわからないという方もいるでしょう。市場調査の分析手法には複数のやり方があります。それぞれの特徴を理解し、自社に合った方法で行うことが重要です。

こちらのページでは、市場調査の分析手法の種類や特徴を解説していきます。定量・定性に分けてデータの分析手法を解説していくので、ぜひ参考にしてください。

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目次

市場調査の分析手法

市場調査では、顧客の声を集めて分析し、商品開発や広告に活かすことが重要です。市場調査におけるデータには「定量データ定性データの2種類があり、分析手法もそれぞれ異なります。

定量データの分析手法

ここでは、定量データの分析手法について解説します。下表は、定量データの分析手法と、活用できるケース、費用感をそれぞれまとめたものです。

分析手法活用できるケース費用感
クラスター分析自社のポジショニング分析顧客や商圏のセグメンテーションブランドや商品イメージの分類
因子分析アンケート回答者の分類多数の項目を少ない変数で要約
コンジョイント分析競合他社との比較分析ニーズを探る分析
コレスポンデンス分析自社製品や競合他社製品のポジショニングに違いの把握
ディシジョンツリー分析ターゲットユーザーの選定リピーターになるための要因購入意欲が高い顧客の選定購入やサービスの利用をしない要因を分析
PSM分析(価格需要度分析)適正価格の調査
RFM分析顧客の性質に合わせたマーケティングの施策
重回帰分析売上予測ブランドイメージの分析顧客満足度の分析
ポートフォリオ分析業務改善のための分析事業改善のための分析
共分散構造分析因果関係の仮説検証
有意差検定調査結果の差異を統計的に判断
トップオブトップ分析マインドシェアの把握認知レベルの把握
一対比較分析デザイン案の評価や選定新商品のコンセプトの策定キャッチコピーの選定


定量データは、統計データやアンケートから取得できる数値化されたデータです。インターネットを活用したアンケートや会場調査、電話調査やホームユーステストといった方法でデータを集められます。

定性データと比較すると一度に多量のデータを収集できる点が特徴です。単純集計(※1)やクロス集計(※2)で簡易的に傾向を把握できます。以下では、分析手法のさらに詳細な内容を解説していきます。

(※1)単純集計:データを一覧にまとめ、どの回答をした人が何人いるか、割合としては何%いるかといった全体の傾向を把握する集計手法

(※2)クロス集計:2つ以上のデータを掛け合わせ、属性ごとの反応の違いを把握する集計手(例:年代や性別、地域ごとの回答の傾向など)

クラスター分析

クラスター分析

クラスター分析は、異なる性質が混ざり合ったデータの集合体から類似した性質のものをまとめてクラスター(集団)を作る手法です。似ている対象の組み合わせを順にクラスター化する「断層クラスター分析」と、クラスター化する数を最初に決めてから自動グルーピングを実施する「非階層クラスター分析」の2種類に分かれます。


インターネットアンケートや会場調査といった方法で集められた生活者の意識や行動を似た特性で分類し、マーケティングのターゲット戦略に役立てます。分類の軸は、人や企業、商品やエリア、イメージなどで用途に応じて幅広く使える手法です。

因子分析

因子分析

さまざまな項目を因子(潜在変数)に要約してまとめる分析手法が、因子分析です。例えば「ブランドに対するどこを評価しているか」というアンケートで集めた結果に対し、その回答を以下のような因子に分類します。

  • サービスに対する評価
  • 価格に対する評価
  • 製品の質に対する評価
  • 広告に対する評価
  • デザイン性に対する評価


これによって得られる結果から、影響度が強い因子を発見できるほか、因子に対する反応の差異を見て、ユーザーや所属グループごとの意識・行動・嗜好性の違いを把握できます。

コンジョイント分析

コンジョイント分析は、価格・機能・サイズ・色など、品・サービスを構成する要素が購買意欲や満足度にどの程度の影響を与えているかを分析する手法です。機能や価格、スペックといった構成要素の組み合わせを示すコンジョイントカードを作成し、対象者に評価してもらい分析を実施します。競合他社との商品仕様を比較したシミュレーションにも使用される方法です。

コレスポンデンス分析

コレスポンデンス分析は、クロス集計の結果を散布図といった方法を使用してマッピングする分析手法です。「グラフ以外の表現方法で結果を示したい」「カテゴリーの数が多すぎてクロス集計結果がまとめにくい」といった時に活用できます。分析項目や属性項目が多数あり、クロス集計結果や比較グラフなどでは視覚的な分析が難しいケースで有効な多変量解析の一手法です。

分析結果をわかりやすく整理でき、自社・競合のポジショニングマップ作成や年齢・性別ごとの企業イメージ把握、ターゲット層の特徴やニーズ分析などに役立ちます。

ディシジョンツリー分析

ディシジョンツリー分析

ディシジョンツリー分析は、「決定木分析」とも呼ばれ、複数にわたる要因と結果の関係性から、影響が強い要因を段階別に把握する分析手法です。予測や分類、判別を目的に使用されるマイニング手法となっています。

活用するメリットとしては、複数パターンの視覚的分析が可能なので、膨大なデータでも効率良く分析できる点です。データ形式や設問形式を問わずに分析できる点も利点です。

PSM分析(価格需要度分析)

PSM分析

生活者の感覚をもとにして、商品やサービスの受容価格帯(消費者に受け入れられる価格帯)を割り出す分析手法がPSM分析ですアンケートの対象者に「高すぎると感じる価格」「高いと感じる価格」「安いと感じる価格」「安すぎると感じる価格」を数値で回答してもらいます。それを分析することで下限価格・上限価格、その間に存在する最適価格・妥協価格を導き出せます。

価格の設定は、製品やサービスの提供における重要な要素です。安い価格を好む顧客は多いものの、あまりに安すぎると製品の品質やサービスの質に疑問を持ってしまいます。反対に金額が高くなりすぎれば、質が良くても購入や利用にはつながりません。

適切な価格を決めるためにPSM分析は役立ちます。新商品の価格設定や既存商品の価格見直しの際に活用してみてください。

RFM分析

最終購入日・購入頻度・購入金額を用いて顧客を分析する手法がRFM分析です。

指標評価基準
最終購入日:Recency顧客が最後に購入した日を算出し、最終購入日から時間が経過していない顧客を高く評価する
購入の頻度:Frequency購入した回数が多い顧客を高く評価する
購入金額:Monetary購入金額の総額が高い顧客を高く評価する


上記の指標で顧客を分類することで、それぞれに適したマーケティング施策を実施でき、施策を強化すべきターゲットの明確化も可能になります。ただし、計測したタイミングで結果が変わりやすい手法でもあるため、分析項目を増やす、他の顧客分析手法で補うといった対策が必要になるケースも。

重回帰分析

重回帰分析

重回帰分析とは、ある変数(目的変数)が、複数の要因(説明変数)のうち、どの変数からどの程度の影響を受けているのかを分析する手法です。

例えば店舗の売上高を目的変数とする場合、目的変数としては「販売商品数」や「従業員数」、「売場面積」、「駅からの距離」、「セールの実施数」などの項目が考えられますが、重回帰分析では、どの項目がどれだけ売上に影響しているかを分析します。

未来の予測も可能なので、人口予測をすれば新しい店舗の出店計画にも活用できます。データが得られない時点でも将来の見通しが立つので、ビジネス戦略に有効な分析手法です。

ポートフォリオ分析

ポートフォリオ分析

ポートフォリオ分析は、商品、品揃え、品質、接客、店舗など顧客の評価対象になり得る要素のうち、どの項目がどれだけ顧客満足度に影響しているかを明らかにし、優先的に改善する事項を割り出す手法です。

各項目は「満足度」と「重要度」の2軸にマッピングして、重点改善項目・重点維持項目・維持項目・改善項目の4象限に分けられます。

重点改善項目は、項目別の満足度が低く全体の満足度に与える影響が大きい(全体の満足度向上のために重点的に改善を要する)項目。重点維持項目は、項目別の満足度が高く全体の満足度に与える影響が大きい(全体の満足度を保ちつつ、さらに向上させるために重点的に維持・強化を要する)項目です。

こうして優先度を明らかにすることで、効率的な改善が可能になるでしょう。

共分散構造分析

ある事象に因果関係の仮説を立て、それを検証する分析手法が共分散構造分析です。共分散構造分析は、複数の要素間の関係性を一度に計算できる利点を持ちます。

また、仮説を1枚の図で示すことができるため、統計やデータ解析の知識がなくても結果を理解しやすく、そのままプレゼンテーションにも活用することが可能ですできます。

ただし、モデルの作成が難しい点はデメリットです。途中修正も可能ですが、モデルの設定を間違えてしまうと妥当な結果が得られなくなってしまうので注意してください。分析をする前の仮設設定を入念に実施することが大切です。

有意差検定

統計的に差があるかどうかを、アンケートによって得られた結果から判断する分析手法が、有意差検定です。

例えば、あるお店でキャンペーンを実施したとします。キャンペーンの告知をする前とした後の購入金額の変化を集計し、もし告知後に購入金額がアップしたのであればキャンペーンの効果があり、それほど差が無かったのであればキャンペーンの効果があまりなかったと判断できます。

有意差検定では施策の効果の大小が数値によってわかるので、より的確なサービスの提供を目指しやすくなります。

トップオブマインド分析

トップオブマインド分析

トップオブマインド分析は、助成想起率・純粋想起率を算出して認知度を分析し、ブランド占有率を調査できる手法になります。

助成想起率は、自社ブランドを知っているか「はい」または「いいえ」の2択で回答してもらい、「はい」を得られた割合となります。純粋想起率は、アンケートで思い浮かぶブランド名を挙げてもらい、自社ブランドが出てくる確率です。その回答を数値化してグラフに配置し、認知率を調査していく仕組みです。

グラフは、「助成想起率:縦軸」「純粋想起率:横軸」に配置します。分類された4つの枠には、マイノリティ(認知度が低い)、ニッチ(認知度は低いがコアなファンがいる)、レガシー(認知度は高いがコアなファンは少ない)、リーダー(認知度が高く、コアなファンも多い)のスペースをそれぞれ作り、回答で挙げられたブランドを当てはめていきます。

一対比較分析

複数ある項目を1対1で比較をし、項目間の優先度を明確化させる分析手法が一対比較分析です。例えば商品の選定で価格・性能・デザイン・企業イメージ・販売エリア・プロモーションといった項目の中で重要視すべき項目を把握したい場合、一度に順位をつけてしまうと正確な結果が出ません。

しかし、「価格vs性能」「価格vsデザイン」「価格vs企業イメージ」「価格vs販売エリア」「価格vsプロモーション」といったスポーツの総当たりリーグ戦のように順位をつけていけば、より正確な判断が可能です。マーケティングにおいては、新商品のコンセプトを決める際やデザイン案の選定、キャッチコピーの選定などで利用できます。

定性データの分析手法

定性データは、数値化できない文章や言葉によるデータを指します。インターネット上の口コミ、現地調査、グループインタビュー調査、デプスインタビュー調査で収集でき、定量データからは読み取れないニーズを発掘できる可能性があります。

さまざまな情報が混在するため分析は困難ですが、以降で紹介する分析手法を用いれば効率的な分析が可能です。

分析手法活用できるケース費用感
アフターコーディング・自由回答のアンケート集計
テキストマイニング・インタビュー調査の回答分析・コールセンターでのやりとりの分析

アフターコーディング

自由記述の回答をカテゴライズして、それぞれにコードを割り振っていく分析手法です。コードの例としては、以下のようなイメージとなります。

  • 大分類:ポジティブ、ネガティブ
  • 中分類:商品、店舗、接客
  • 小分類:商品の●●が良い/悪い、店舗の●●が良い/悪い、接客の●●が良い/悪い


自由記述とは、企業で用意した「はい」「いいえ」といった選択肢によって回答を得るのではなく、回答者に対して自由に回答を促すアンケートです。「知っているブランド名を教えてください」「利用するスーパーでよく購入する商品を教えてください」といった設問を出し、回答者の本音を聞き出します。コード化をした上で定量的にデータを処理することで、大量の調査項目を集計・分析しやすくなります。

テキストマイニング

テキストマイニングは、口コミやアンケートといった文章で集めたデータを単語ごとに分類集計する手法です。膨大な文章データから情報を抽出し、単語の出現頻度や相関関係を可視化できるため、全体の傾向やキーとなる事項を把握しやすい利点があります。

膨大なデータ量となるので、自社だけで行う場合は負担が大きくなりますが、テキストマイニングツールを使えば効率的な分析が可能です。

まとめ 市場調査の分析手法

市場調査の分析手法には定性・定量ともにさまざまなものがあります。調査の目的やデータに合わせて適切な手法の選択が大切です。

トムスは、課題の本質を見極めた調査内容の検討・最適な調査会社の選定・データ分析に役立つツールの導入支援・リサーチャーの育成など、市場調査の一連をサポート可能です。市場調査でお困りであれば、ぜひ一度ご相談ください。

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