「市場調査を検討しているけれど費用が気になる」「相場を知ってから調査会社に依頼したい」と悩んでいませんか?市場調査は企業のマーケティング活動において重要な存在ですが、できれば安く済ませたいと考える方も多いでしょう。
市場調査の料金は手法によって異なり、おおよそ1~300万円です。金額の幅が大きいため、やり方次第ではコストをかなり削減できます。費用を抑えるためには、手法別の相場をしっかり把握しておくことが大切です。
この記事では、市場調査の費用相場と費用を抑えるコツについて詳しく解説していきます。
この記事でわかること
- 市場調査の費用が決まる要素
- 調査手法別の費用相場
- 調査費用を抑える3つのポイント
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市場調査の費用が決まる3つの要素
市場調査の金額はどの手法で調査するかによって異なりますが、大体1~300万円が目安です。
ただし、今から紹介する3つの要素でも費用は変動します。どのように費用が決定するのかを詳しく理解しておきましょう。
要素①:回収数
何人の回答を回収するかによって市場調査の費用は変動します。希望する回収数が多ければ、調査に手間や時間がかかるため費用は高くなります。
回収数 | 設問数(質問する数) | 費用相場 |
---|---|---|
100 | 10 | 5~20万円程度 |
1,000 | 10 | 15~40万程度 |
ただし、上記の金額はインターネット調査の相場であるため、その他の調査手法を選択する場合は費用が異なる点に注意してください。
要素②:設問数
設問数とは、1人の対象者につき何個の質問を投げかけるのかを表しています。
質問する項目が多ければ多いほど、アンケートにかかる工数が増えるため、市場調査の費用も高くなります。
また、設問数は回収数に応じて費用も変動します。例えば、回収数が300の場合に設問数が10か20かで変わるといった具合です。設問数が10問では調査費用は6~9万円程度ですが、設問数が20問の場合では12~23万円程度で、設問数が10問のときと比べて6~14万円程度高くなります。
金額の一例を紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。
設問数 | 回収数 | 費用相場 |
---|---|---|
10 | 300 | 6~9万円程度 |
500 | 10~19万円程度 | |
20 | 300 | 12~23万円程度 |
500 | 20~35万円程度 |
また、設問数が多い調査では、市場調査自体にかかる費用だけでなくアンケート回答者への謝礼金も高くなります。
要素③:オプション
調査にプラスしてオプションを付ける場合は、別途費用がかかってきます。オプション費用は回収数や設問数、調査手法などによって変動するので注意しましょう。
オプションの金額の一例を紹介します。
オプション | 設問数 | 費用相場 |
---|---|---|
調査票設計 | 10 | 15~20万円程度 |
集計 | 10 | 5万円程度 |
報告書作成 | – | 10~20万円程度 |
アンケートの郵送 | – | 往復の封筒代・郵送料 ※郵送する数と返送してもらう数で費用は変動する |
「調査票設計」は調査の目的に沿った質問項目を設計する作業、「集計」は調査の結果から回収したい回答を集める作業、「報告書作成」は調査レポートの作成作業です。
調査会社によっても金額は変わるため、上記の費用相場はあくまで参考程度にしておいてください。詳細は調査会社に問い合わせるようにしましょう。
【手法別】市場調査の費用相場
市場調査は大きく分けて以下の2種類に分類されます。
- 定量調査・・・数値として結果を出す手法
- 定性調査・・・回答や意見などの詳しい情報を集める手法
以下に詳細な手法と参考相場をまとめました。
手法 | 相場 | |
---|---|---|
定量調査 | インターネット調査 | 10~20万円 |
郵送調査 | 20~50万円 | |
聞き取り調査 | 15~40万円 | |
商圏調査 | 1~3万円 | |
ホームユーステスト | 50~100万円 | |
定性調査 | グループインタビュー | 10~130万円 |
デプスインタビュー | 10~40万円 | |
会場テスト | 40~300万円 | |
ミステリーショッパー | 10~50万円 |
上記の表のとおり、定量調査と定性調査のなかでも調査手法が細かく分類され、価格帯もさまざまです。調査の目的によって適した手法が異なるため、それぞれの特徴やメリットなどを理解しておきましょう。
ここからは調査手法の詳しい内容と費用相場を紹介していきます。
定量調査の費用相場
定量調査には主に5つの手法があります。
- インターネット調査
- 郵送調査
- 聞き取り調査
- 商圏調査
- ホームユーステスト
それぞれの簡単な特徴と費用相場を確認していきましょう。
インターネット調査
- 相場:10~20万円
インターネット調査とは、ターゲット層となるモニターに対し、インターネット上でアンケートに回答してもらう手法です。
ほかの調査手法よりも短期間で調査ができる、郵送などの手間や送料がかからないため低コストで市場調査を行える、といった特徴があります。性別や年齢を問わず多くの回答者を対象にできるため、十分な回収数を得られるのもメリットです。
相場は10~20万円程度で、市場での認知度やポジショニングを把握するのに活用されます。
郵送調査
- 相場:20~50万円
郵送調査とは、モニターの自宅へアンケート用紙を送付し、手書きで回答してもらう手法のことです。企業だけでなく行政調査などにも広く採用されています。
アンケート用紙や謝礼を送付する手間や送料がかかるものの、インターネットを使用しない若年層や高齢者からの貴重な意見を聞き出せるのがメリットです。また、インターネット調査よりも意欲的に参加してくれるケースが多く、顧客からの丁寧な回答を得られます。
相場は設問数や回収数によって異なり、おおよそ20~50万円です。顧客の氏名・住所がわかっている場合で、とくにシニア層の回答を得たいシーンで活用できます。
聞き取り調査
相場:15~40万円
聞き取り調査とは、街頭やイベント会場などで直接声をかけ、インタービュー形式で回答してもらう手法です。
調査内容についてその場で説明できるため、認識の相違が生まれず正確な回答を得られる点がメリットです。事前に打ち合わせなどをしないため、リアルな意見を聞きたい場合にも役立ちます。
ただし、調査対象を見つけたり会場を押さえたりするための費用がかかるため、時間やコストの負担が大きい点に注意が必要です。
商圏調査
- 相場:1~3万円
商圏調査とは、ターゲット層が生活する範囲内で地域特性や競合他社などの情報を収集し、自社の商品・サービスに需要があるのかを調査する手法です。
商圏エリアには同心円、多角形、フリー形状などさまざまなタイプがあり、ターゲット層の行動範囲によって使い分けます。データを色分けできるので、直感的に分析できるのがメリットです。
調査範囲によって費用は異なりますが、1地域または1軒あたりで1~3万円と低価格に設定されています。
ホームユーステスト
- 相場:50~100万円
ホームユーステストとは、モニターの自宅へ商品を郵送し、実際に使用してもらった上で使用感や意見を聞き出す手法です。
実物を試してもらうため、商品に対する生の意見を細かく調査できるのが大きな特徴です。また、調査期間を長く設定できるので、日記形式で回答してもらうこともできます。
広告訴求や販売促進のアイデア抽出にも活用できますが、商品や送料などのコストがかかる点に注意しましょう。そのため、相場は50~100万円と高めに設定されています。
定性調査の費用相場
定性調査の手法は主に4つです。
- グループインタビュー
- デプスインタビュー
- 会場テスト
- ミステリーショッパー
それぞれの特徴と費用相場を以下の章で紹介していきます。
グループインタビュー
- 相場:10~130万円
グループインタビューとは、ターゲット層となる複数のモニターを集め、会話形式で意見を収集する手法です。
一度に多くの意見を聞けるので、効率的に調査できるのがメリットです。また、率直な意見を聞けたり深層心理を探りやすいため、新たな発見や課題を見つけるのにも役立ちます。
インタビューを行うグループ数によって費用が大幅に変わり、相場は10~130万円です。調査員のスキル次第では、うまく意見を聞き出せない場合がある点に注意してください。
デプスインタビュー
- 相場:10~40万円
デプスインタビューとは、調査員と回答者が1対1で行うインタビュー形式の調査手法です。
一人ひとりに時間をかけられるので、調査したいことをより深く・細かく調査できます。グループインタビューよりも本音を聞き出しやすいのも特徴です。
対面で実施する場合は会場使用料が必要ですが、オンラインで実施することも可能なため費用を抑えられるでしょう。料金相場は10〜40万円と、グループインタビューより安く実施できます。
会場テスト
- 相場:40~300万円
会場テストとは、ターゲット層となるモニターを会場に集め、その場でアンケートやインタビューに答えてもらう手法です。英語の頭文字を取り、CLTとも表記されます。
同一条件下で調査を実施できるため、率直な意見を聞き出せるほか、顧客のリアルな反応を得られるのもメリットです。大きな会場を押さえれば、大規模調査を実施することもできます。
会場となる場所を用意する必要があるため、会場テストはほかの調査手法に比べて割高です。40~300万円を目安にしておきましょう。
ミステリーショッパー
- 相場:10~50万円
ミステリーショッパーとは、自社商品を店頭で購入してもらい、使用感や感想を回答してもらう手法です。また、飲食店などにおいては、一般客を装いサービスの質を調査するケースもあります。
店頭に並んでいる商品の印象やサービスの実体験が聞けるため、売場やサービスの改善に役立ちます。また商品やサービスをモニターが気に入ってくれれば、顧客の獲得にもつながります。
実際に店頭に足を運んで購入してもらう調査手法であるため、交通費や商品の購入代、サービスの利用料といった費用負担が必要です。相場は10~50万円で、調査時間が長いと高くなる傾向にあります。
市場調査の費用を抑えるためのポイント
上記で説明したように、市場調査には数百万円もの費用がかかる場合もあります。できるだけ安く済ませるためには、いくつかのポイントを押さえた上で調査を実施することが大切です。
ここからは、コスト削減のためのコツを4つ紹介していきます。
調査の目的を明確に設定する
目的を明確化せずに市場調査を行っても、思ったような情報を得られず、再度調査を実施することになります。そうなれば1回分の調査費用が無駄になり、余分なコストがかかってしまいます。
まずは調査の目的を明確にすることが重要です。設定した目的に沿って調査が行われるため、軸がしっかりしていないと途中で「なぜ調査を行うのか」が見えなくなってしまいますので注意してください。
目的が定まれば、適切な調査手法を選択しやすくなります。例えば、より多くの回答を得て全体のニーズを汲み取りたい場合はインターネット調査、一人ひとりの意見を細かく知りたい場合はデプスインタビューを用いることで、より効果的な調査を実施できるでしょう。
回収数を正しく設定する
市場調査では、目的や対象者、許容誤差などを考慮したうえで、予算に合った回収数を設定することが大切です。
市場調査はより多くの回収数を集めたほうが精度の高い結果を得やすくなります。ただし、回収数が多ければ多いほど良いというわけではありません。適正な回収数というものがあり、ただ単に回収数を増やしても経費の無駄遣いになってしまいます。
目的に適した手法を用いる
費用を抑えようと考えている場合、一番コストの安い調査手法を選びたくなってしまうかもしれません。しかし、コストがかからないという理由だけで選んでしまうと、求めている情報や正確な分析ができなくなってしまいます。
そうなれば本来の目的を達成できず、再度調査を行わなければなりません。最初から目的に沿った調査手法を選んでおけば、無駄なコストがかかるリスクを減らせます。
どの手法が適しているか悩んでいる方は、株式会社トムスが提供しているマーケティングリサーチサービス「Data Lab.」がおすすめです。
市場調査をしたいと思った理由は何なのか、という本質の目的に向き合い、さまざまな調査手法から最適な手法を提案いたします。些細な相談も受け付けているので、まずはお気軽に問い合わせてみてください。
複数の会社から見積もりをとり比較する
納得のいく市場調査をするためには、調査の目的を理解し、その目的に合った調査手法や調査設計を提案してくれる会社なのかどうかを見極めることが大切です。複数の見積もりをとることで、信頼できる会社かどうかを判断する材料になります。
また、市場調査の料金は会社によって異なるため、複数の見積もりを比較することで、一番安い会社を選べるようになります。
ただし、安いという理由だけで決めてしまうと、サービスの質や調査結果に後悔するかもしれません。しっかりとリサーチしたうえで、調査を依頼するようにしましょう。
市場調査の費用相場まとめ
市場調査の費用は設問数・回収数・オプションの有無によって変動します。設問数や回収数が多くなればなるほど金額は高くなるため、希望条件と予算のバランスが取れた内容に設定することが大切です。
また、どの調査手法にするかによっても費用相場が異なります。定量調査は1~100万円程度、定性調査は10~300万円程度を目安にしておきましょう。また、定量調査と定性調査のなかでも細かく分類されており、それぞれ金額が異なります。
できるだけ費用を抑えるには、目的を明確にしたり、複数の会社から見積もりをとったりすることが重要です。目的に最適な手法を選ぶには専門のリサーチサービスを活用するのもおすすめです。
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