新型栄養失調って何?

第二次大戦中や終戦後まもなくは栄養失調が広く見られましたが、その後は減少傾向でした。最近では「新型栄養失調」という言葉が注目を集めており、その原因は何でしょうか。

 

なぜ“新型”栄養失調になるのか?

「新型栄養失調」は、高齢者や若い女性などで見られ、食事制限ダイエットや偏った食事が原因で特定の栄養素が不足する状態を指します。高齢者は歯の問題や調理の難しさから、若い女性は食事制限や偏った食事が影響します。この中で特に、タンパク質不足が影響し、筋肉の減少や免疫力低下、貧血のリスクが高まります。新型栄養失調を防ぐには、バランスの取れた食事が重要です。

 

日本人に不足しているミネラルは?

新型栄養失調では特にカルシウムとマグネシウムの不足が懸念されており、日本人のカルシウム摂取量が基準に届かないことが指摘されています。カルシウム不足は骨の健康に悪影響を与え、女性ホルモンの影響も考慮されます。また、マグネシウム不足は主食の変化や食事制限ダイエットによる影響が挙げられ、心疾患や糖尿病リスクが増加する可能性があります。食事の工夫や特定の食品の摂取を通じてこれらのミネラルの不足を補うことが重要です。

 

※1 日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要(厚生労働省)より

※2 平成27年国民健康・栄養調査(厚生労働省)より

※3 食品標準成分表2015年版(七訂)(文部科学省)より

 

不足気味と指摘されているビタミンは?

日本人に不足している栄養素として、ビタミンAとB1が挙げられます。ビタミンAは視覚の正常化や皮膚・粘膜の健康に寄与し、がんの発症を抑える可能性があります。また、ビタミンAが不足すると糖尿病の発症リスクが増加するとの研究結果もあります。ビタミンAを多く含む野菜は脂溶性のため、油と一緒に摂取すると吸収率が高まります。ビタミンB1は炭水化物をエネルギーに変え、脳や神経の機能を維持する重要な役割があります。豚肉や大豆がビタミンB1を豊富に含みますが、水溶性なので適切な加熱が必要です。これらの栄養素は動植物性食品をバランスよく摂ることが重要です。

 

新型栄養失調の対策は?

新型栄養失調の対策として、食事のバランスが重要です。朝食を摂る、同じ食品に頼りすぎない、サプリメントを適切に使用するなどの注意が必要です。暑い季節にさっぱりとした食事だけで栄養不足になる危険性がある場合は、副食を加えて栄養バランスを整えるべきです。1985年の「健康づくりのための食生活指針」では1日30品目の摂取が目標とされましたが、現在の指針は「主食、主菜、副菜を基本に食事のバランスを」とし、多様な食品を組み合わせ、調理方法を工夫することが強調されています。数字にこだわりすぎず、多様性を重視することが重要です。栄養素の吸収率を高めるために、温野菜や調理方法の多様性を取り入れることが勧められています。

新型栄養失調が低体重児の出産増加に影響している可能性があり、妊娠中の食事制限が一因とされています。医師と相談しながら、適切な食事と生活習慣を心掛けることが重要です。