【不妊治療ってなに?】費用は?保険は効く?助成金は?ギモンにお答えします!

多くの夫婦が不妊の心配を抱え、約4.4組に1組が不妊検査や治療を経験していると国立社会保障・人口問題研究所の調査が示しています。子供を授かりたいと願う夫婦の中には、妊娠が難しい状況にある方も多く、不妊治療に関する理解不足から一歩を踏み出せない場合もあります。そのため、不安や疑問を共有し、不妊治療についての情報を一緒に理解していくことが重要です。

 

「不妊」とはどのような状態?その原因は?


「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をせずに性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しない状態を指します。日本産科婦人科学会では、この「一定期間」を通常1年と定義しています。不妊は男性にも原因が半数あるとされ、女性だけの問題ではないことがWHOによる調査で示されています。

 

男性の不妊の原因は?

最も一般的な不妊の原因は「精索静脈瘤」であり、これは精巣周辺の静脈がこぶ状に膨れる病気です。この症状は生命に直接かかわるものではありませんが、男性の不妊患者の約3割に見られます。その他の原因としては、精巣の腫瘍、精子を生成するホルモンの低値、精液通り道に感染症(クラミジアなど)が生じていることが挙げられます。

 

女性の不妊の原因は?

不妊症の検査で特定の原因が見つからない場合、一般的な原因には以下のような要因が考えられます。

  • 排卵因子: 高プロラクチン血症、多のう胞性卵巣症候群、精神的ストレス、急激な体重減少に伴う排卵障害など。
  • 卵管因子: 骨盤内炎症や子宮内膜症による卵管の閉塞、狭窄、癒着など。
  • 子宮因子: 子宮筋腫(特に粘膜下筋腫)、子宮内膜ポリープ、子宮内癒着、子宮奇形など。
  • 子宮頸管因子: 子宮頸部の手術、子宮頸管炎、子宮頸管からの粘液分泌異常など。
  • 免疫因子: 抗精子抗体など。
  • 子宮内膜症: チョコレート嚢胞など。

これらが一般的な不妊の原因として考えられます。

 

どのタイミングで受診するのがいい?

避妊を行わずに自然な性生活を送り、1年たっても妊娠しない場合は、受診がお勧めされます。特に男女ともに年齢が高くなるほど妊娠確率が低下するため、早めの検査を考えるべきです。

 

不妊治療の流れや期間、内容は?

まずは不妊検査を行い、その結果に基づいて適切な治療を選択していきます。不妊の原因は多岐にわたり、個々の状況に応じた治療が必要です。最適な不妊治療を見つけるためには、あなたとパートナーが共に検査を受け、結果に基づいて治療の方針を検討することが大切です。

 

男性の場合

男性の基本的な不妊検査は精液検査で、これは1日で完了します。ただし、精液の状態は疲労やストレスなどの体調に左右されるため、結果によっては複数回行うこともあります。不妊の原因となる症状に応じて、適切な治療が行われます。

 

不妊治療において、異常な状態に応じて以下の治療が検討されます:

  • 精索静脈瘤: 状態に応じて手術療法が検討されます。
  • ホルモンの異常: 精子をつくるためのホルモンが不足している場合は、補充療法が行われます。
  • ミネラルの異常(亜鉛など): 不足している場合は、ミネラルの補充が行われます。
  • 勃起・射精障害など: 内服治療や行動療法が実施されます。
  • 異常が指摘できない場合: 漢方薬、ビタミン剤、血流改善剤などの内服が行われ、喫煙者には禁煙が推奨されます。治療効果の判断は約2カ月半以降の精液検査で行われます。

最終的に、治療が難しい場合や治療を行わない場合には、現在の精子を用いて人工授精、体外受精、顕微授精などの最適な治療が行われます。

 

女性の場合


超音波検査等、月経周期の体が変化するタイミングでさまざまな検査をします。そのため基本的な検査が完了するまでは、最短でも約1カ月かかります。

検査の結果に応じて、その原因に応じた治療方針を決定して治療を行っていきます。保険適用となる治療や保険適用とならない自費での治療があります。

不妊治療には、タイミング法、排卵誘発法、人工授精、体外受精 (顕微授精) などの生殖補助医療があります。 また、不妊原因を取り除く目的で、内視鏡下手術 (子宮鏡・卵管鏡・腹腔鏡) も行われます。

選択した治療法で一定期間に妊娠が成立しない場合には、必要に応じてより高度な治療へステップアップしていきます。

不妊治療の費用や保険適用は?助成金もあるの?

不妊に関する検査や治療の費用は、具体的な検査や治療内容によって異なります。詳細な費用については、具体的な医療機関に直接お問い合わせいただくか、受診される医療機関へお問い合わせください。

不妊検査を含めた一般不妊治療の費用助成

夫婦が男女ともに不妊検査を含む一般不妊治療(人工授精まで)を受ける場合、最大5万円の費用を助成しています。助成対象となる費用は医師が認めたもので、助成額は自己負担の1/2で上限は5万円(千円未満は切り捨て)。助成対象期間は不妊検査開始から2年以内で、一組の夫婦につき一回限りです。

 

先進医療等の治療の費用助成

2022年4月から体外受精・顕微授精などの「生殖補助医療」が保険適用になったことを受けて、県では、保険適用外の先進医療等の費用の一部を助成しています。

さらに、2023年4月からは、先進医療等の活用によって治療費の全額が自己負担となった方を対象とする新たな助成メニューを追加しました。

まずは不妊検査から。検査は2人そろって受けましょう

子どもを授かりたいと思う場合、まず最初にできることはご自身やパートナーの体の状態を知ることです。妊娠しにくい原因は性別に関わらずさまざまであり、「妊娠しにくいかもしれない」と感じたら、2人で一緒に検査を受けることから始めましょう。