多くの女性が月経に関する不調を訴えており、働く女性にとっては特に大きな課題です。月経前や月経中の体の不調には病気が潜んでいる可能性があります。生理痛が強くつらい場合は、それが当たり前ではなく、正常な月経について理解し、異常を感じたら早めに婦人科・産婦人科を受診することが重要です。
生理痛、生理前生理中の不調は当たり前だと思っていませんか?
平均的な初潮の年齢は12歳であり、閉経は50歳。したがって、約38年間も生理(月経)が続きます。平均周期で計算すると、一生で約450回~500回の生理があることになります。痛みや不調を我慢せず、自分を大切にすることが重要です。20代では80%以上、30代では70%以上の人が何らかの不調を抱えていると報告されています。自分の生理(月経)に向き合って、不調を感じたら早めに対処しましょう。
あなたの生理は正常でしょうか?月経について正しく知りましょう!
正常な月経
周期 25日〜38日
出血期間 3日〜7日
経血量 20〜140ml(個人差あり)
近年の生理用品には、ナプキンやタンポンに加え、月経カップもあります。月経カップは経血量の測定も可能で、様々なタイプの生理用品が提供されています。個々の好みや体調に合わせて、快適に過ごせる選択肢を見つけることが大切です。
月経(出血状態)の異常
周期
月経不順
月経周期が不規則で次の月経の予測がつかない
頻発月経
月経周期が24日以内
稀発月経
月経周期が39日以上
無月経
3か月以上月経のない状態
出血期間
過長月経
1回の月経が8日以上続く
過短月経
1回の月経が2日以内で終わる
経血量
過少月経
経血の量が非常に少ない
過多月経
経血の量が非常に多い
不正出血
月経時期以外の出血
もしかしたら病気かも?
月経に関連する病気や子宮・卵巣の主な病気には、月経痛や月経異常が病気のサインである可能性があります。具体的な疾患としては、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫、卵巣の嚢腫、卵巣がんなどが挙げられます。
月経に伴う疾患
月経困難症
強い月経痛(腹痛や腰痛など)があり、これが日常生活に支障をきたす状態で、子宮内膜症や子宮筋腫が原因となることがあります。
月経前症候群(PMS)
月経が始まる前3~10日前からさまざまな心身の不快症状が現れ、月経が始まると症状が緩和・消失するもので、女性ホルモンの変化への体の反応と考えられています。これにはストレスの影響もあるとされています。
子宮・卵巣の主な病気
子宮筋腫
子宮の壁にできる良性の腫瘍で、症状としては過多な月経、不正出血、貧血、頻尿、腰痛などが現れ、不妊の原因にもなることがあります。
子宮内膜症
子宮内膜に似た組織が子宮内腔以外の場所にでき、20代から40代の女性に多く見られます。症状には強い月経痛、骨盤痛、性交痛、排便痛が含まれ、これも不妊の原因となることがあります。
卵巣のう腫
卵巣の中に液状の成分がたまってできるもので、多くは良性です。初期には自覚症状がなく、成長すると下腹の張りや痛みが現れ、大きくなるとねじれを起こして激しい腹痛が起こることがあります。
婦人科、産婦人科の受診について
月経に関する異常症状や月経前症候群(PMS)がある場合でも、多くの人が何も対策をとっていないという調査結果があります。婦人科への受診には抵抗があるかもしれませんが、月経の痛みや不調の緩和、子宮や卵巣の病気の早期発見のためにも早めの受診がお勧めされます。鎮痛剤だけでなく、低用量ホルモン剤(ピル)や漢方治療なども選択肢となるため、医師に相談することが重要です。
職場のサポート
女性従業員の月経に関する不調が働く場面にどう影響しているかを理解し、サポート体制を整備する必要があります。生理休暇など不調時に利用できる制度について社員に適切に周知し、男性管理職だけでなく、男性従業員も女性特有の健康課題について学ぶ研修を実施しましょう。